技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由
- 感想
技術主導ではなくニーズ主導でどのように
「事業戦略,知財戦略,研究開発」
の三位一体経営をしていくべきかをまとめた本。
教授にありがちな、なんでもかんでもモデルに名前をつけたがるところとか、
似たような話題を何回も繰り返すところなど冗長な部分も多かったが、
知財マネジメントに関する話はあまり見かけないので新鮮だった。
また、
・インテル・インサイド型とアップル・アウトサイド型
・インベンションだけでなくディフュージョン(普及)を
など、今後製造業が常に意識しておくべきキーワードも強調されていて参考になった。
- まとめ
・技術力、ビジネスモデル、知財マネジメントの三位一体経営がなされるべき
・日本半導体連合の特許は10000、インテルの特許は300
・インテルは特許が強いのではなく戦略が強い
・日本は科学技術、知財はあるのに使い方下手
・成長は量的拡大、発展=イノベーションは質的拡大
・日本はプロセスイノベーション+インプルーブメント、海外はプロダクトイノベーション
・イノベーション創造は技術(シーズ)主導(日本)か事業(ニーズ)主導か
・ニーズ主導では必要な知財のリソーシング(どう調達するか)が重要→5パターン
→知財関係者が研究開発に関わるべき
【インテル・インサイド型】基幹部品PCIバスの内インテグラル、外モジュラー(インターフェース)+中間システム(マザーボード)ノウハウを台湾に販売・製造委託。売れるほど,普及するほど収益はインテルに還元。ウィンウィンでもシナリオ書いてるのはインテル。国際斜形分業
【アップル・アウトサイド型】外側のコンセプトをうまく作る。モノとサービスの相乗効果(iPod+iTunesStore)+プラットフォーム上の開発ノウハウ公開。広まるほどiphoneの利便性高まり他社にとって参入障壁高まる
・電気自動車の電池は充電でなく交換なら省インフラ
・これからは国際標準と国際斜形分業
・パルミサーノ(IBM会長)レポート「ゲームのルールを変えたものだけが勝つ」
・粗悪な追随品を追放するために、関連特許取得,オープン標準など標準化,普及を見据えた知財マネジメントが重要
・オープン戦略、基幹部品集中は囲い込み戦略
・オープン化更に発展させると標準化、参入障壁の形成
・ディフュージョン過程を斜形分業すれば死の谷はなくなる(前提としてモジュラーの発想)
・現状、市場の拡大⇔日本のシェア低下は表裏一体
・標準(と素材)を抑えて生産普及は新興國に任せる(三菱化学DVD)・技術の急所は探すのでなく「つくる」
【研究開発】急所技術開発
【事業戦略】市場拡大と収益確保を同時達成
【知財戦略】自社技術秘匿化、他社技術利用、標準化など、内インテグラル外オープン
・特許を取ると公開しないといけない、リバースエンジニアリング出来るかどうかが基準
・特許権でなく特許網を築く
・特許確保の前提はあくまでも事業シナリオ
・PS3の開発ツールは無料にしてサードパーティの囲い込み、ソフト機能向上目指すべきでは
・デジカメは内インテグラル、外モジュラーになってる!?他の事業にも活かすべき
・技術をオープンすれば市場は拡大する。画期的新製品の市場を立ち上げる戦略
・インベンションだけでなくディフュージョンも考える。アップルは消費者にはモノとサービスの両輪で訴え、普及は開発者向けプラットフォーム解放で訴えた。普及しないとエアボード(ソニー)のように死の谷に落ちる
技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由
- 作者: 妹尾堅一郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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