経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ

  • 感想

相変わらず痛快でありながら泥臭い経営ストーリーだった。
今の日本企業で外国人CEOに頼りきりの経営を見ていると、
まさに三枝さんが80年代から懸念していた「経営パワーの危機」が現実のものになっているのだと思う。


典型的な大企業に入ろうとしている自分が、
「経営をトータルで見る機会」や「チャレンジ,失敗を歓迎する組織」
に恵まれるとは思えないけど、日本企業の凋落の"20"年が現実のものになっている今、
失敗を恐れず、常にチャレンジしていきたいと思った。
もがくだけもがいてダメなら、ポジティブな意味で転職という選択肢も考えておかないと。


入社までには
・本やニュースを色々調べて自分の「チェックリスト」を作る
・基礎的能力としての英語力の向上
は重点的にやっていかないと。

  • まとめ

古今東西、いかなる企業も没落の前にはキャッシュがだぶつく
・大企業にありがちな頭でっかちな管理志向。資料だけはすぐにでてくる
・事前に原因が見えていても失敗するのは因果律が見えないから
・スピード感覚の喪失は大企業病
多角化、新事業を考えるなら経営をトータルバランスで見れる人材が必要
・営業機能や工場機能などいずれかが欠けている中途半端な事業部制が上場企業の80%
・小さい会社でいいから社長をやる。優秀な人に重荷を負わせる
・子会社がマイナーで本社事業部が本流という考えが古い
・失敗しても以前より好待遇に。失敗は最大の財産
大企業病になるのは組織が自己完結的でないから
・日本の大企業に必要なのは、老獪な経営者が持株会社にいて、事業会社に若手のプレジデントと経営陣が配備され、攻撃的に事業を進めること
・高リスク事業に挑むなら不動産投資はしない。いざというときのキャッシュを残しておく
・権限委譲とプランニング、管理は同義語
・大企業の社内ベンチャーがうまくいかないのは経営者的人材に欠けているから


・再建者は前任者と同じ改革をしてはいけない。一番大きい問題→芋づる式に
・財務諸表見る前に仮説を
納期遅れは病気の大元
・管理コストと情報コストは表裏一体
・普段はこれだけ管理、異常がでたらあれもチェック、のように管理を連鎖化する
・異常がでたらすぐに気付けるシステムを。バリアンス分析(差異分析)で部門毎利益ロス率測る
・社内に共通言語を(マップ,チャート,戦略)
・泥沼企業の改善はコスト→利益。強みを伸ばすことだけ考える。弱みは捨てる
・戦略性とは絞りと集中
・マップ、チャートをもとに判断するなら、一番大切なのは「元となる情報が正しいか」。そのマップの切り口、データが正しいか
・戦略は全員で分かち合う

縮小均衡では社長のマインドは萎える→気骨のある社員!
・日本の強みは「我慢の時間軸」→泥臭いことをコツコツと→Googleマップに負けてる…
・あまりに長いこと危機状態にあると会社はいつまでも大丈夫だと錯覚する→集団自殺
・赤字を三年続けた経営者は絶対に交代する必要
・許される時間軸を常に考えておく。ただし必要以上に短くしない
・簡単に意見(批判)言わない。否定しない。一番効果的な押しボタンはどこか探る
・新商品開発チームがルーチン業務をしているのは負け企業の典型
・問題を探るときは具体例=仮説を持って探る
不振事業が立て直るのは商売の基本サイクルを再び回した時のみ
・問題まとめるにはまずフローを書く(p171)
・問題はトータルで指摘。一つの部を槍玉に上げない
・改善に必要なのはストーリー性
・ムダがなくなったら、営業強化で売り上げ増。開発強化で成長タネ探し
皆でやる=誰もしていない
説明がシンプルにできる=将来の成長性あり
・噂による経営管理を払拭するには…(戦略型をキープした上で求められるのは、恐怖政治に行かないで浪花節的心情をキープすること)
・再建のスタートは資金→時間軸。成長のスタートは競争
・セグメントの境はどこか、障壁はどれだけ高いのか見極める(付属品が本体市場に巻き込まれるか)
・市場のライフサイクル段階、成長率、陳腐化スピード等…「競争パターン」を正確に把握する
・戦略を描くための顧客ニーズ、顧客像ははっきりしている?強力な戦略はシンプル
・あとは組織、損益、資金の順に定量チェック(p.451)
どんな狭い市場でもいいから【ナンバーワン】を実現する